犬や猫にとって「腫瘍(がん)」は決して珍しい病気ではありません。
特に中高齢になると発生するリスクが高まり、「しこりが見つかった」「最近元気がない」といった小さな変化が、腫瘍のサインであることもあります。
「がん」と聞くと大きな不安を感じるかもしれませんが、早期発見・適切な治療・緩和ケアによって、その子らしい生活をサポートすることが可能です。
当院では、腫瘍の診断から治療、そして長期的なサポートまで、飼い主さまと一緒に歩みながら取り組んでいます。
こんな症状ありませんか?
大切なワンちゃんやネコちゃんに、次のような変化は見られませんか?
腫瘍(がん)の早期発見には、日常の小さな気づきがとても大切です。
- 身体にしこりや腫れがある
- 食欲不振や体重減少
- 原因不明の出血や治りにくい傷
- 元気がない・疲れやすい
- お腹がいつもより膨らんでいるように見える
必ずしも腫瘍とは限りませんが、「もしかして…」と不安に感じたときは、早めにご相談ください。
よくある腫瘍疾患
犬の乳腺腫瘍(乳がん)
避妊手術を受けていない雌犬に多く見られる腫瘍です。良性と悪性の両方があり、早期に避妊手術を行うことで発生率を大幅に下げられることが知られています。
乳腺に小さなしこりとして現れることが多く、放置すると大きくなったり、肺などに転移する危険もあります。早期に見つけて切除することで、予後は大きく改善します。
猫の乳腺腫瘍(乳がん)
猫の乳腺腫瘍は約9割が悪性と言われ、犬よりも悪性度が高いのが特徴です。避妊手術をしていない雌猫でリスクが高く、特に高齢の猫で多く見られます。
しこりは小さくても転移しやすいため、見つけ次第、早めの外科手術が推奨されるケースがほとんどです。予防には若いうちの避妊手術が有効です。
皮膚腫瘍
皮膚にできるしこりが最も多い腫瘍のひとつです。見た目はイボのようなものから、悪性黒色腫(メラノーマ)や肥満細胞腫など命に関わる腫瘍までさまざまです。大きさや色の変化、出血やただれがある場合は要注意です。
良性・悪性の判断は外見だけでは難しいため、細胞診や組織検査で確認します。
骨肉腫
特に大型犬に多く発生する、骨の悪性腫瘍です。前足や後足にできることが多く、「足を痛がる」「引きずって歩く」「骨の部分が腫れてきた」といった症状が出ます。
進行が速く、肺などへの転移リスクも高いため、早期診断と治療が重要です。
リンパ腫
最も多い悪性腫瘍のひとつです。リンパ節、消化管、胸腔など全身のさまざまな部位に発生し、食欲不振・体重減少・下痢・嘔吐・呼吸困難など症状も多岐にわたります。猫白血病ウイルス(FeLV)や猫エイズウイルス(FIV)に感染している猫は発症リスクが高まります。
抗がん剤治療(化学療法)が一般的な治療法で、適切に行えば生活の質を保ちながら長期的なコントロールが可能な場合もあります。
口腔内腫瘍(扁平上皮がんなど)
口の中にできる腫瘍で、特に扁平上皮がんが代表的です。歯ぐきや舌に発生し、よだれが増える、口臭が強くなる、ご飯を食べにくそうにするといった症状が見られます。
進行すると顔や顎に腫れが出ることもあります。口腔内腫瘍は発見が遅れやすいため、日常的に口の中をチェックすることが早期発見につながります。
腫瘍科診療の特徴
オーダーメイドの治療方針
腫瘍の種類・進行度・年齢・体調・ご家族の希望に合わせて、無理のない最適な治療計画をご提案します。
緩和ケアと長期サポート
完治が難しい場合も、痛みや苦し
みをできる限り和らげる緩和ケア
を大切にしています。治療中から
治療後まで、長期的にサポートい
たします。
二次病院との連携
高度な検査や治療が必要な場
合は、大学病院や二次病院と
連携し、より安心できる医療
をご提供します。
腫瘍科診療の流れ
問診
症状や経過、気になる点を丁寧に伺います。

検査
身体検査、血液検査、細胞診、画像検査(レントゲン・超音波)などを必要に応じて実施します。

治療プラン決定
手術・抗がん剤・放射線治療・緩和ケアなど、治療法のメリット・デメリットをわかりやすく説明し、飼い主さまと一緒に決めていきます。

経過観察
治療中も定期的に状態を確認し、副作用や再発の有無をチェック。
状況に合わせて治療を調整します。
ワンちゃん・ネコちゃんの腫瘍は、飼い主さまにとって大きな不安のひとつです。
「しこりがある」「元気がない」など、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。

